by Robyn Lindars | 2020年9月8日| コロナ、マーケットトレンド、リモートワーク
参照元:https://netbasequid.com/blog/remote-work-abandoned-offices/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オフィスで働く人の数は大幅に減少しました。やむを得ず出勤している人もいますが、わざわざ高い賃料を払ってオフィスを借りるほどの人数ではなくなっている企業も多いはずです。
企業は社員のリモートワーク化を進める一方で、使われなくなったオフィスをどうするか検討する時期にきており、オフィスを手放す企業もあれば、これまでとは違った活用方法を模索している企業もあります。この記事では、以下の観点で今後のオフィスのあり方を見ていきます。
- リモートワークがトレンドとなった背景
- オフィスや実店舗からオンラインへのシフト
- ショッピングモールやオフィスビルの新たな活用方法
ビジネスの意思決定が行われる背景には必ず統計的な裏付けがあります。記事の内容に移る前に、リモートワークに関するいくつかの統計をご紹介します。
- 新型コロナウイルスの発生以前から、労働者の80%はリモートワークを希望していました。
- リモートワークへ移行することによって、労働者は年間2,500ドル~4,000ドルを節約できます。
- リモートワークへ移行することによって、米国の雇用者は1日あたり300億ドル以上を節約できます。
リモートワークトレンドの背景
どの企業も新型コロナウイルスへの対応にはもううんざりしているかもしれませんが、次に来る世界の動向にも注意しなくてはなりません。その1つがオフィスワークからリモートワークへの移行です。米国では、新型コロナウイルスの発生以前から約500万人(約3.6%)の労働者がリモートで働いていました。2005年比で見ると173%も増加しており、リモートワーク化はこの頃からすでに成長中のトレンドであったと言えます。
以下の円グラフは、どの業界の従業員に対してWAH(Work at Home:在宅勤務)のオプションが提供されているかと、その割合を示したものです。
ポストパンデミックの時代となる2021年までには労働者の25~30%がリモートワークで働くことになると予測されています。これは、労働者にとっては嬉しい変化でしょう。新型コロナウイルスの発生以前から、彼らのうち80%はリモートワークを希望しており、1/3の人はそのためなら多少賃金が下がってもいいと答えていました。
労働者にとってはポジティブなトレンドですが、消費者はどう思っているのでしょうか?Quid Socialを使ってソーシャルメディアプラットフォーム、ブログ、ニュース記事を分析したのが以下のグラフです。分析結果を見ると、リモートワークに対する労働者や消費者の考えが表れています。
Mental Health(メンタルヘルス)セグメントにフォーカスしてみると、透明性や信頼、妊娠中の在宅勤務の課題、生産性に関する懸念などが表示されており、リモートワーク化に際してこのような項目が懸念事項になっていることが分かります。
様々な業界で進んでいるリモート化は「流行り」というよりも、現実に起きている世界的な変化であり、企業はこれに対応していかなければなりません。実際に、多くの企業が永続的なリモートワーク化を進めています。
実店舗を手放しオンラインに移行する小売業界
Recreational Equipment Inc.(REI)は、新設されたばかりのカスタムメイドの本社を売りに出し、リモートワークにシフトしようとしています。小規模なオフィスを開いてミニハブとして機能させ、従業員が自宅で作業できるようにするのです。
またソフトウェア会社SoundCommerceでは、従業員への調査によって彼らの大半が在宅勤務を希望していることが明らかになりました。これに対して企業側は、在宅勤務を認めるとともに、業務に必要なオフィスの機器を各従業員の自宅に届けるという対応を行いました。本社を売り払うほどではありませんが、大胆な意思決定です。
同様に、Facebook、 Twitter、Okta、Boxなどの企業でも、永続的にリモートワークへシフトしようとしています。
下のグラフは、リモートワークに関するニュース記事の内容と言及されている企業の割合を示したものですが、主要な項目に関する記事にはトップ企業への言及があり、その多くがハイテク企業です。主導権を握るGoogleが多くの割合を占めており、TwitterやFacebookに関する言及も多いようです。
また統計では、リモートワークが雇用者と従業員どちらにとっても有益であることを示されています。
- 一般的に、雇用主はパートタイムで働く従業員1人につき年間11,000ドルを節約できます。
- 従業員は年間2,500〜4,000ドルを節約できます。
- 米国の雇用者は1日当たり300億ドル以上を節約できます。
NetBaseでソーシャルメディア上のリモートワークに関する会話を分析しても、ポジティブな意見が多く、「best」や「great」、「love」といったポジティブなキーワードが見られます。
※下のワードクラウドでは、投稿者の感情を表すキーワードが表示されており、緑はポジティブ、赤はネガティブを表しています。
しかし、企業はこの中にあるネガティブなキーワードにも注目するべきでしょう。
リモートワークに関するネガティブな意見
上記の分析にナラティブフィルターを適用して、英語で一人称を表す「I」や、「I」の所有格を表す「my」、スペイン語であれば一人称を表す「yo」などを含む投稿に絞り込み、リモートワークに関する投稿者のネガティブな意見を見てみると、注意すべき側面も見えてきます。
下の投稿のように、リモートワークをしている人にとってはADHDや注意散漫、育児などがリモートワークを難しくする要因になっているようです。企業にとってはこのような情報が従業員の業務環境を考える上で重要になるはずです。従業員がどのような状況下でリモートワークをしており、何が生産性を低下させているかが分かれば、子供のいる従業員に育児サービスを提供したり、自宅で集中して作業するのが難しい従業員のために職場環境を整備したりすることができます。
そして、試行錯誤してリモートワーク化したあとも、まだ考えなければならないことがあります。使用しなくなったスペースはどうすればいいのでしょうか?
倉庫に生まれ変わるショッピングモール
新型コロナウイルスの影響によってショッピングのオンライン化が進み、賑やかだったショッピングモールも今ではパンデミック以前のモニュメントと化してしまいました。
しかし、アマゾンはすでに使われなくなったショッピングモールの活用を考えています。廃墟になってしまったショッピングモールを米国中の配送センターの本拠地として使う計画をしているのです。彼らはすでにオハイオ州アクロンにショッピングセンターを所有しており、現在はJCPenneyの63店舗と、Searsの11店舗を抱えるSimon Property Groupとも話し合いを進めています。
また、廃墟となったオフィスビルにも新たな活用方法が生まれています。
オフィスでミニシアター?
人々はこれまで楽しんでいた生活や娯楽を切望していますが、映画もその1つです。大勢が密閉空間に集まるため感染リスクが高いと考えられていますが、使われなくなったオフィスは少人数グループでのプライベートビューイングに最適できます。
Regalではすでにこのサ-ビスを提供しており、プレミアム付きでチケットが販売されています。彼らは市場調査でいち早くトレンドを予測して計画を練っていたのかもしれません。
また、より多くの人がミニマムな生活スタイルを受け入れることで、マイクロアパートがトレンドになることも予測されています。
リモートワーカーのためのマイクロアパート?
2016年だけで、英国には8,000ものアパートが建てられましたが、その面積は37m²(398平方フィート)未満でした。環境に対する意識が高まり、二酸化炭素を削減したいという考えから、より安価でエネルギーコストの低い小さなスペースへの需要が高まっているのです。
閉所恐怖症の人にとっては信じられない話かもしれませんが、他にも信じられないアイディアがあります。
使われなくなったスペースでお化け屋敷?
2016年、ハロウィーンの市場規模は84億ドルに成長しました。米小売業協会の調査では、調査対象者のうち21%の人がハロウィーンにお化け屋敷に行く予定と回答しており、ハロウィーン市場やお化け屋敷が近年人気のトレンドになっていることが分かります。
Spirit Halloweenは、空いている小売店のスペースをハロウィーンシーズン中にポップアップストアとして利用して、北米で1400以上の店舗を構えるまでに成長しています。これと同じように、使われなくなったオフィスなどのスペースもお化け屋敷として利用できるはずです。
その他、オフィスビルやショッピングモールは倉庫やチャータースクール、データセンターとして利用するにも最適なスペースでしょう。
市場調査とソーシャルリスニングを組み合わせることでトレンドをいち早く発見し、新たな商品やサービスを生み出すことができます。ソーシャル・リスニングの詳細やソーシャル・リスニング・ツールNetBaseのデモをご希望の方は、お気軽にご連絡ください。
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