新型コロナウイルスによる物資の不足が環境に与える影響

by Paige Leidig | 2020年4月2日| COVID-19、インサイト、ソーシャルモニタリング
参照元:https://www.netbase.com/blog/covid-supply-chain-disruptions/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。

新型コロナウイルスの影響により、世界中で物資の不足が発生する中で、これまで使い捨てされていたものが再利用されるなど、環境保全につながる動きが見られるようになっています。商品のサプライチェーンの混乱を資源の節約や再利用につなげ、企業や消費者をCOVID-greenに塗り替えられるかもしれません。

節約と再利用の再考

2020年を振り返ると、トイレットペーパー、マスク、消毒液、缶詰などの不足が頭に浮かぶのではないでしょうか。

世界中でトイレットペーパーの買い占めや商品不足が続いており、このようなサイトまでできました。このサイトでは、家に買い溜めたトイレットペーパーの個数などを入力すると、トイレットペーパーがあと何日持つかが表示され、必要以上の買い溜めを抑制する目的があります。

トイレットペーパー電卓

また、最近は店への不要不急の外出を減らすため、ジップロックのようなアイテムは今まで以上に再利用されています。

一方で、卵の消費と需要は増加傾向にあります。家から出られないストレス解消のためにパンやお菓子を焼く人が増えているからです。鶏は卵を1日に1つ産むので、今のところ卵の不足を心配する必要はほとんどありません。しかし、医薬品については安心できません。

医薬品、マスク、手袋などの主要サプライヤーであった中国が現在これらの供給を停止しているため、影響はこれらの物資を日々必要としている病院にまで及び、人々の健康は脅威にさらされています。NYタイムズの Farhad Manjooはこの状況を「たった75セントのフェイスマスクが手に入らなくなってしまったために、国が滅びた。」と表現しています。

ただし、この物資不足には良かった点もあります。それは、問題を解決するために全国の人々を結びつけたこと、そして、可能な限り資源が再利用されるようになったことです。例えば手縫いのマスクについて次のような投稿があります。

手縫いのマスクは、サプライチェーンの中断による支援への道として

医療用マスクが不足する中、ローリーとダーラムにあるDuke Healthは独自の解決策を見つけました。彼らは、 エアロゾル化された過酸化水素を使用して使用済みのN9マスクを除菌する方法を発見したのです。ガスはマスクに浸透し、マスクを損傷することなく細菌やウイルスを破壊し、再利用を可能にします。

再使用のための除染マスク

消費の削減や再利用の取り組みなど、これまでとは異なる対応に迫られているのは、医療業界や消費者だけではありません。ブランドや企業も、このような状況下でも消費者との繋がりを維持するために、戦略を立て直さなければなりません。

ブランドは危機を経験して成長する

新型コロナウイルスによる社会的状況の変化は、ソーシャル・アナリティクスを重要視していない企業にとって大きな転機となっています。一方、ソーシャル・アナリティクスに精通したブランドは、消費者および市場を調査して、どのような商品が必要とされているかを分析し、状況に適応する努力や工夫によって以前よりもさらにクリエイティブになっています。

たとえば、マイクロソフトは医療物資が不足する状況を考慮し、積極的な行動に出ました。400万ドルを費やして海外から追加の医療用品を購入し、N-95サージカルマスク240,000枚、目を保護するゴーグル15,000個、医療用キャップ850個、保護スーツ850着、赤外線温度計120個を寄付したのです。マイクロソフトは医療品を製造していませんが、グローバルサプライチェーンを上手く利用して入手困難な物資を提供しました。

マイクロソフトの海外からのサプライ用品

家具メーカーであるMukilteoは、工場でマスクの製造を始め、支援を必要としている病院にマスクを寄付することでブランドの認知度を高めました。ミリオンマスクチャレンジの一員であるこの家具メーカーは、コミュニティへの気遣いを通して消費者の心に存在し続ける必要性を認識していると言えます。

メーカー-製造-マスク-需要を満たす

革新的な思考と競争力のあるインテリジェンスを駆使し、業界でファッションリーダーの地位を築いたLouis Vuittonも、新型コロナウイルスの影響で物資が不足する中、社会に貢献した企業の1つです。Louis Vuittonは、12トンの手指消毒液を製造し、パリの病院に寄付しました。Louis Vuittonのファンだけでなく他の消費者も、ソーシャルメディア上でこのニュースを取り上げ、直面している危機に対するこの決断と対応を称賛しました。

LV-hand-santizer-supporting-supply-chain-efforts

Target や Krogerなど、地域のケアを担う企業は、危機の最前線で仕事に従事してくれている従業員に対し、ボーナスの給付や昇給という方法で感謝を示しました。

これらの事例は、ブランドや企業は、このような事態にもクリエイティブに対応していけることを証明していると言えるでしょう。

では次に、再生可能エネルギーの観点から考えてみましょう。再利用という観点で最たるものと言えば再生可能エネルギーですが、新型コロナウイルスによる危機は再生可能エネルギーにどのような影響を及ぼしたのでしょうか。

これは再生可能エネルギーにとって良いニュースか悪いニュースか?

新型コロナウイルスとの戦いの中でも最も重要視されているのは、誰もが安全で健康な状態を維持できるということですが、パンデミックが続くに従い、議論は再生可能エネルギーへの影響にも及んでいます。アメリカの化石燃料への依存度の高さと、新型コロナウイルスに関する現在の状況を踏まえると、政府はリスクを軽減するために再生可能エネルギーを積極的に使用していくべきとも考えられますが、事情はそれほど単純ではありません。

石油メジャー(※)と政府の両方で起きた原油価格の下落は、再生可能エネルギーへの転換を阻害する可能性があります。政府と石油メジャーが支出の削減を余儀なくされた場合、再生可能エネルギーへの投資と助成金が最初に削られる可能性が高いからです。以下のデータでは、このトピックに関する議論の状況がわかります。

※石油の探査・採掘・生産等の上流部門から、輸送・精製・販売等の下流部門に至るまで、石油産業の全段階をカバーする国際的な活動を展開している石油系巨大企業複合体の総称

再生可能エネルギーのための良いか悪いニュース

2018年には世界の石油会社上位24社が34億ドルを低炭素エネルギー技術に投資しました。投資の削減は再生可能エネルギーにとってこれだけの大きな損失となり、何千人もの従業員の失業に加え、進歩の停滞を招くでしょう。この市場調査に示されているように、この点は重要な懸念事項です。

気候変動-会話-発見-Quid

また、原油安が再生可能エネルギーにとって良い兆候ではない理由はいくつかありますが、主な理由として、再生可能一般的に原油安=ガス価格が低いため、電気自動車やバイオ燃料の魅力が低下します。その結果、一部の石油会社は天然ガス生産に焦点を移し、太陽光や風力を利用した電力は高価になってしまう可能性もあります。実際に最近では、太陽光発電への投資が途絶えているために、太陽光発電は減速状況にあります。この影響は2020年から2021年にかけて続くでしょう。

しかし、悪いニュースばかりではありません。 ブルームバーグNEFのリードソーラーアナリスト Jenny Chaseは、これまでにも太陽光発電の停滞を経験しました。彼女は以下のように述べています。

「世界の終わりのように思われているが、人々はまだクリーンなエネルギーを必要としているし、電気を必要としている」

「エネルギーはまだ安く、機能している。いつかまた人々は仕事に戻り、社会を立て直すだろうと考えている」

もう1つの希望のかすかな光は、新型コロナウイルスに対する景気刺激対策にあります。最近、5つの再生可能エネルギーグループとエネルギー貯蔵業界団体が力を合わせ、下院と上院の指導者に対して、再生可能エネルギーが新型コロナウイルス蔓延による影響を乗り越えられるよう、迅速な補償と税制優遇措置の拡大を求めて書簡を送りました。必ずしもこの要望が受け入れられるという見込みはありませんが、実現すれば再生可能エネルギーへの取り組みが復活し、再生可能エネルギーに関わる何千人もの雇用が守られることは言うまでもありません。

結局、再生可能エネルギーは新型コロナウイルスの影響によってダメージを受けるのでしょうか?それとも回避できるのでしょうか?その結果はまだ出ていませんが、ブランドや企業はこれらのトレンドを察知し、消費者と市場の動きを予測して次の行動をとることができます。

ソーシャル・アナリティクスを利用して、この困難な状況を上手く乗り切るクリエイティブな方法を模索しましょう。レポートについてのご質問や、ソーシャル・アナリティクスツールNetBaseのデモンストレーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

Leave A Comment

You must be logged in to post a comment.

Share via
Copy link
Powered by Social Snap