ソーシャル・SNS分析で環境にやさしいファッションを下支えする

by Carol Feigenbaum | 2019年11月14日| ソーシャル分析、トレンド
参照元: https://www.netbase.com/blog/eco-friendly-fashion/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。

ソーシャル・インサイトはトレンドの予測や顧客理解に役立つことが広く認められており、大手のアパレルブランド各社も、ソーシャル・アナリティクスを使用してターゲット市場のニーズを迅速に分析し、マーケティングに活用しています。

近年では持続可能性を重視する社会的なトレンドを受けて、環境にやさしい商品の提供やエキサイティングなカスタマー・エクスペリエンスの取り組みが行われています。この記事では、その具体的な事例をご紹介します。

エコフレンドリーファッション:ファストファッションの大量廃棄を改善

近年、オンラインでの会話の中に環境保護や持続可能性に関する話題が多くなっています。一方で「ファッション」は依然として、持続可能性の観点ではネガティブな文脈で語られます。

ソーシャル分析により、環境に優しいファッションに対する愛情が明らかになります

たしかに、ファストファッションは多くの廃棄を生み出すことで世界的にも問題になっており、環境活動家が問題視している分野でもあります。

ファストファッションとは、トレンドの変化が激しいファッション業界で、安価かつ流行を素早く取り入れられるよう作られた衣服です。コストを抑えるために大量生産され、その結果余剰在庫が多く発生し、保管費用を抑えるために多くの在庫が処分されます。

インドでのファストファッションの廃棄

処分された衣服のうち、材料としてリサイクルされるものはたった1%だけです。では、持続可能なファッションとはどのようなものなのでしょうか。

持続可能なファッションに明確な定義はありませんが、染料の使用方法、水廃棄物の処理方法、リサイクル素材の使用、衣類の輸送・保管・販売方法、工場の労働環境など、衣類の製造から販売の過程で環境への悪影響を軽減する方法が用いられているものを言います。

持続可能なファッションを推奨している企業は、「生分解性」、「エコフレンドリー」、「オーガニック」、「公正取引」などのラベル付けによってエコフレンドリーな商品のプロモーションをしています。

このテーマに関するオンラインでの会話を分析すると、どの年代の人も関心を持っていることが分かります。2019年11月15日には気候変動ストライキがあり、そのすぐあとには ロンドン ファッションウィーク での抗議活動も行われ、社会的にそのメッセージは強く明確なものになりました。各ブランドも、この動きに注目しています。

持続可能性の人口統計

どのブランドがエコフレンドリー・ファッションをリードしていくのでしょうか。その候補はたくさんいます。オンラインで注目を集めるブランドは流動的ですが、主要な競合ブランドは明確です。ここからは、各ブランドの取り組みを見ていきましょう。

環境に優しいファッションの懸念に注意を払っているブランド

H&M

H&MのConscious Collectionは持続可能な素材から作られており、持続可能性に関するオンライン上の会話の中で話題になっています。

環境に優しいファッションオプションとしてのH&Msコンシャスコレクション

H&Mは、消費者が持続可能な素材から作られたアイテムを求めているだけでなく、その生産過程で生じる廃棄物の処理方法などにも注意していることを理解しています。ブランドはこのように、消費者が購入することで心地よさを感じられるような商品を提供する必要があるでしょう。

持続可能なファッションは最高のハッシュタグです

H&M は I:Collect( I:CO )と提携して消費者から不要になった衣服を集め、次の3つの方法で集めた衣服をリサイクルしました。

  • 再着用–再び着用できる衣類は、中古品として世界中で販売する。
  • 再利用–着用に適さない衣類は、材料として他の製品に作り替える。
  • リサイクル–再利用できない生地は、さらに細かい繊維に分解して、新たな製品の材料にするか、自動車業界向けの制振材や断熱材として使用する。

さらに、不要になった衣類を1袋持ち込めば、次回のH&Mでの買い物が15%OFFになるキャンペーンを行いました。持ち込む衣類はH&M以外のブランドでも布地でもよく、近くの店舗のリサイクルボックスに入れます。

H&Msリサイクルボックスピッチ

消費者がやりたいことを、さらに15%OFFの特典も付けて行ったわけですが、結果的に驚くべき販売促進の可能性が生まれ、同時に環境保護にも貢献しました。とても賢明な戦略と言えます。

もう一つ、方法は異なりますが、同様に消費者心理をよく理解したインテリジェントなアプローチをご紹介します。それは、消費者が中古品を入手できるオンライン情報センターです。

消費者は持続可能性に関心がありますが、ショッピングも好きです。つまり、消費者にはこれらを両立したファッショナブルで持続可能な選択肢が必要なのです。一方で企業も、消費者が納得のいく方法で商品を提供できれば win-win です。

消費者はファッショナブルで持続可能な選択肢を望んでいます

Burberry

Burberryは、高級委託販売店 TheRealRealと提携し、新たなカスタマー・エクスペリエンスを創出しました。

TheRealRealとBurberryのパートナーシップ

The Real Real の戦略的イニシアチブのディレクターであるアリソン・サマーは「この新しいパートナーシップによって、バイヤーや商品の委託者がBurberryと The Real Realによるファッションをより持続可能にしていく取り組みに参加できるようになるだろう」と語っています。また、両社の商品にもともと関心のなかった消費者にとっても商品がより身近なものになることで、商品を購入する可能性が高まります。

The Real Real のレポートによると、Burberryへの需要は前年比で64%増加し、Burberryのサイトではとくにミレニアル世代とZ世代の検索が最も増加しました。さらに、ThredUp 2019 Resale Report では、Burberryは最高の再販価値を持つ高級ブランドであると述べられています。

Burberry商品の所有者はThe Real Realへ商品を委託することによって、イギリスのBurberryセレクトショップで高級・上質なショッピング体験ができます。「これにより、商品の委託者は直接店舗で他の商品を購入することもでき、商品を委託することによってクローゼットのスペースを開放することもできます。」

持続可能性の時代になるにつれ、ファッションブランドとしてのリスクは明らかに高くなります。ブランドもこの流れに乗り遅れないよう、思い切った取り組みを行っています。参考に、Pradaの取り組みを見てみましょう。

PRADA

プラダ、環境に優しいファッションへの取り組みを支援するローンを確保

Pradaは、サステナビリティ・ローンによって融資を受けることで、持続可能性の実現に貢献する意思を口だけでなく行動で示しました。

2019年11月5日、Pradaは高級アパレル業界では初めて、仏銀行大手クレディ・アグリコルからサステナビリティ・ローンを5,000万ユーロ(約60億円)受けることを発表しました。サステナビリティ・ローンは、サステナビリティ・パフォーマンスによって金利が変動するローンで、クレディ・アグリコルが設定した目標を達成度合いに応じて毎年金利を変更できる仕組みになっています。

クレディ・アグリコルは、Pradaのサステナビリティ・パフォーマンスの評価指標として、以下の3つの目標を設定しました。

  • グリーンビルディング認証「LEED」でプラチナまたはゴールドを取得数した店舗数
  • 従業員への研修時間
  • 再生ナイロン素材「プラダ・リナイロン(Re-Nylon)」の使用料

サステナビリティ関連ローンの合計は1000億ドルを突破し、そのトレンドの中で、Pradaは最前線にいるのです。Pradaのような大手アパレル会社が持続可能性と関連があることを知って驚く人も多いのではないでしょうか。

AIを用いてテーマを自動的に発見できるツールを使えば、持続可能性に関連するテーマを見つけることができます。例えば、下の画像のように持続可能性(サステナビリティ)を分析すると、「再生可能エネルギー」や「リサイクル」など一般的に持続可能性と関連して語られているテーマのほかにも、「テラフォーミング」というテーマがあることが分かります。ブランドはこの世界的なトレンドに取り残されないためにも、このような情報を把握して、発見したアイディアを自社の計画に組み込む準備をしておく必要があります。

NASAが持続可能性と環境に優しいファッションの会話に参加

NASAが宇宙服の材料をリサイクルできるのであれば、どのブランドだって持続可能性を実現する取り組みに参加できるはずです。

個人のレベルにおいても、あなたが日々出るゴミを入念に分別しているとしてもリサイクル製品を買っていないのなら、本当にリサイクルしているといえるのでしょうか?多くの人が「ノー!」と答えるでしょう。持続可能性の実現に向けて自分にできる方法を見つけることが重要なのです。

しかし、Benettonにはそう働きかける必要はないようです。彼らはこれまで持続可能性について考えてきました。

BENETTON

United Colors of Benettonは2019年のミラノのファッションショーで、紙とリサイクル繊維でできたトレンチコートを展示しました。ベネトン・インドのCEO、サンディープ・チューは、ファストファッションが世界中で大流行した時代に、ブランドがその流れに対していかに慎重であったかを説明し、今日、ブランドは非難されるべき対象ではないと感じると述べています。

環境にやさしいクラフトペーパーでできたショッピングバッグやブランドのイメージカラー(緑)を見れば分かるように、Benettonは地球環境という観点で世界的なブランドの位置づけを真剣に考えています。

ベネトンは環境に優しいファッションの選択肢の最前線にいます

Max Fashionにも同じことが言えます。

MAX FASHION

持続可能性と環境に優しいファッションに対するビジョンを共有するMax Fashion

ここまでご紹介したすべてのブランドについて言えることは、どのブランドも持続可能性に対する「ブランドのコミットメント」がますます重要視されていることを理解しているということです。そして、彼らは持続可能性の実現に「貢献」するか、「回避」すべきブランドになります。

センチメント行動は、消費者が環境に優しいファッションの選択に対する責任を小売業者に課していることを示しています

大手高級ブランドの取り組みが目立ちますが、持続可能性や環境にやさしいファッションは今、誰にとっても関係のあるテーマです。

近年注目を集める持続可能性の分野とあなたの会社を結びつける方法や、2020年の計画を開始する際に心に留めておくべき今後のトレンドをご紹介します!お気軽にお問い合わせください!

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