2019.12.13 By manabe.yuriko No comments yet
by Mike Baglietto | 2019年11月12日 | インフルエンサーマーケティング、ソーシャルメディアインテリジェンス
参照元: https://www.netbase.com/blog/instagram-likes-gone/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。
Instagramの「いいね!」数やコメント数は バニティメトリクス(※) と呼ばれます。バニティメトリクスは、その数値を見るだけでは次のアクションに結びつかないため、背景を理解しなくては意味がありません。デジタルマーケティングを行っている企業であれば、このことに気がついているでしょう。
しかし、「いいね!」数なしでマーケティングを行う準備はできているでしょうか?
2019年7月から、Instagramは「いいね!」数を非表示にする試みを始めました。
「いいね!」数ばかりを気にしていてはいけないと分かってはいても、Instagramで「いいね!」数が表示されなくなった今、ブランド認知や投稿への反響をどのようにして測るかという問題は、企業やインフルエンサーにとって大きな関心事になっているのではないでしょうか。
Instagramの「いいね!」数非表示化は、今後の社会的な流れに先行した対応であり、「いいね!」数は、このデジタル世界ではもう長くは使用されない可能性があります。これまで「いいね!」数やコメント数をマーケティングに利用していた企業は、今のうちに対策を検討しておく必要があるでしょう。
それでは、「いいね!」数が表示されなくなった背景では何が起きていて、企業はどのような対策をするべきなのでしょうか?
バニティメトリクス
日本語では「虚栄の指標」と訳される。数値が大きいと良い印象を抱くが、それだけでは次のアクションや業務改善に結びつかない指標。典型的なものはユーザー数、「いいね!」数、ページビュー数など。
「いいね!」数を非表示にする動き
Instagramの「いいね!」数を非表示にする試みは、最初はカナダで試験的に始まり、2019年7月にはアイルランド、イタリア、日本、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドへと拡大しました。(詳細)
この試みについて、Instagramの広報担当者は以下のように語っています。
写真や動画の「いいね!」数は、閲覧者には非表示になりますが、投稿した本人は見ることができます。
Instagramのユーザーに、「いいね!」を獲得することではなく、コンテンツの内容にフォーカスしてもらうためにこのテストを行っています。
この試みによって、上記のほかにも、投稿する際のプレッシャーを取り除く効果が期待されています。(詳細)
メンタルヘルスへの影響
1億5千万人のフォロワーを持つ キム・カーダシアン は、この動きに賛同しています。Instagramなどのソーシャルメディアが、ユーザーのメンタルヘルスを改善するために、できることがあると感じているからです。
メンタルヘルスに関しては、「いいね!」数表示を取り去り、「いいね!」数を追いかけてしまうというInstagramの悪い側面を取り去ることは、人々にとって本当に有益だと思います。
Instagramチームが、この問題を真剣に受け止め、多くの議論を重ねてくれていることが嬉しいです。
と、彼女は「いいね!」数を非表示にする動きに賛同していることを認めました。また、メンタルヘルスへの影響について、以下のようにも語っています。
私は精神的に強いですが、そういう人ばかりではありません。自分の投稿へのコメントで頭がいっぱいになってしまう人もいます。
たとえば私の子供が、そのように影響を受けてしまったらと想像すると、とても辛いですし、それによって私も影響されるだろうと思います。
オンライン上でも、これを支持する意見が多くみられました。(詳細)
一方で、この動きに懐疑的な意見も見られました。
インフルエンサーで、人気ミュージシャンでもある Cardi B は、「いいね!」数よりもコメントの内容の方が人を傷つける可能性があると述べています。
これについては、Facebookが毎年開催しているF8というカンファレンスで「いいね!」数非表示化の発表があったとき、コメント機能がいじめにつながるといった問題に対しても、InstagramとFacebookは以下の機能を追加して対策を講じることが発表されています。
- コメントフィルター:攻撃的な発言に対して警告を表示する。
- アウェイモード:アカウントを削除することなく継続的に通知をオフにでき、一時的にInstagramから離れられる。
- 交流管理:ユーザーが特定の相手とやりとりする際の限度を設定できる。
このように、「いいね!」やコメント機能がメンタルヘルスに影響を与えることは確かで、これには多くの人が共感しているでしょう。
実はそれだけではなく、ブランドヘルスにもよくない影響を与える場合があるのです。
ブランドヘルスへの影響
バニティメトリクスを安易にマーケティングに利用すると、ブランドを傷つけてしまう可能性があります。
たとえば、ブランドや商品に対する顧客の反応を「いいね!」の数や、コメントの肯定的/否定的の割合で判断していると、顧客のインサイトを見つけることはできません。また、顧客の心理とその変動を把握しておかなければ、予測できたはずのブランド危機を見逃してしまう恐れもあります。
ソーシャル分析を行う際は、誤って解釈しやすい「いいね!」数やコメント数に惑わされないためにも、NetBaseに代表されるソーシャル分析ツールを使用することをお勧めします。ソーシャル分析ツールがあれば、データを収集するプロセスから解析するプロセスまで、すべてツールに任せられるだけでなく、誤ってデータを解釈する心配もありません。また、Instagramに限らずソーシャルウェブ全体のデータを解析できるため、データが偏る心配もありません。
データ活用のあるべき姿
企業はこれまで、バイラル・マーケティング(※) によるブランドや商品の認知度向上に、累計数十億ドルを費やしてきました。しかし、近年その流れに変化が起きています。一部の企業は、バイラル・マーケティングで思うような効果が出ないことや、企業のバイラル・マーケティングに付け込む偽インフルエンサーの出現にうんざりしているのです。表面的な数値やインサイトばかりを頼りにしている場合、このような結果になりかねません。
バイラル・マーケティング
インターネットやメール上での口コミを利用したマーケティング手法。商品やサービスを利用した感想を他人に伝えたいという心理を利用しており、サイトの「友達に教える」「シェアする」などのボタンから顧客同士で情報を共有してもらう機能もその一例。Instagramでは、インフルエンサーに商品を宣伝してもらうケースが増えている。
一方で、以下のようにデータを活用している企業では、ソーシャルメディアの力を最大限に活かしています。
- 自社および競合他社の「声のシェア」を把握する
(※声のシェア:競合企業や競合製品・サービス間における広告出稿量やメディア露出量) - 業界のトレンドトピックを把握する
- 顧客像を把握する
- 潜在顧客を発見する
- 業界内での自社製品と他社製品の位置づけを把握する
- 業界内のカテゴリー分類や新たなカテゴリーの創出をする
このような企業では、バニティメトリクスに依存しない形でデータを分析しているため、「いいね!」が非表示になっても影響はほとんどありません。
「いいね!」数を頼りにしていた企業にとって、「いいね!」数を非表示にする動きは頭の痛い問題かもしれませんが、バイラル・マーケティングの方法を見直すいい機会になるでしょう。
インフルエンサーにも同じことが言えます。(「いいね!」を買っていないインフルエンサーに限った話ですが…)
インフルエンサーへの影響
一部のインフルエンサーからは、「いいね!」数が表示されなくなることに不満の声が上がっています(参照)。「いいね!」数非表示の動きが広がっていけば、不満の声も大きくなっていくでしょう。
統一感のある家族の写真で人気のカナダのインフルエンサーであるケイト・ウェイランドは、「いいね!」数が表示されなくなってから、それ以前のように「いいね!」やコメントがつかなくなり、投稿するたびに残念な気持ちになると語っています。また、これまで「いいね!」数やコメントから、フォロワーの興味や好みを探り、どのような投稿が人気で、どのような投稿は少なくするべきか参考にしていたため、「いいね!」数が非表示になったことは彼女の投稿の内容にも影響していると言います。(詳細)
しかし、表面的な数値にとどまらず結果をより深く掘り下げて、「いいね!」数やコメント数の背景やフォロワーのインサイトを理解することができれば、「いいね!」を獲得するための作業を減らして、魅力的なコンテンツを作成することにより多くの時間を割けるようになります。
「いいね!」数の非表示による影響を心配しているインフルエンサーも、先に述べた企業と同じように、これがより有効なソーシャル分析へとレベルアップできる機会であることに気が付いていないだけなのでしょう。
コメントへの対策
また、節約の観点から見ると、「いいね!」数が非表示になることで、Instagramのシステムを悪用しにくくなります(詳細)。「いいね!」もコメントも買うことができてしまいますが、これらの数値が非表示になれば、もう買う意味はありません。
コメントの内容は閲覧することができますが、フェイクコメントは簡単に見分けることができます。
「いいね!」のない世界
ここまで見てきた通り、今回の変更で明らかになった問題は、「いいね!」数が非表示になることではなく、「いいね!」数ばかりに気を取られずにマーケティングの効果や顧客のインサイトを正しく理解できるかどうかということです。
「いいね!」数の非表示化の主な目的は、個人のメンタルヘルス改善ですが、企業やインフルエンサーがデータの見方を検討しなおすいい機会にもなっており、メンタルヘルスとブランドヘルスの両方にとって良いことと言えるでしょう。
「いいね!」数ばかりを追いかけてしまったり、偽物のインフルエンサーに騙されてしまったとしても、その事実に気がつけば、より明確で戦略的な計画を立てることができます。
デジタル・マーケティングやソーシャル・リスニングでお困りの方は、ISID NetBaseサポートサービスまでご連絡ください。
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