Paige Leidig | 2020年7月15日| エグゼクティブインサイト、マーケットインテリジェンス、トレンド
参照元:https://www.netbase.com/blog/lululemon-mirror/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。
lululemonのMirror買収
近年、信じられないような企業の合併や買収がいくつも行われていますが、とくにlululemonが行ったフィットネスの新興企業であるMirrorの買収はとくに画期的でした。
lululemonは製品を販売するというよりもライフスタイルを販売しているブランドで、今回のMirror買収もその延長線上にあります。lululemonは、トップアスリージャーブランド(※)としての地位を確立しており、今ではホームフィットネスの分野でもトップに立とうとしています。
※アスリージャー…athletics(運動、アスレチックス)と leisure(レジャー、休暇)を組み合せた合成語
これは業界にとってどのような意味があるのでしょうか?以下の観点から分析してみましょう。
- lululemonはPelotonに迫る勢いを見せています。フィットネス業界にとってこれは何を意味するのでしょうか?
- lululemonは、オムニチャネル・エクスペリエンスにおいて新たなスタンダードを築きました。遅れを取らないため、あなたのブランドが取るべき行動は何でしょうか?
- 合併や買収は今検討すべきことなのでしょうか?
次の統計からも分かるように、フィットネス業界は今注目を集めています。
- フィットネス業界の評価額は8200万米ドル以上
- 世界中で1億7400万人がヘルス・フィットネスクラブに参加している
- 健康産業は毎年8.7%成長している
lululemonとMirrorの統合がPelotonにとって意味すること
lululemonのMirror買収は、極めてスマートなビジネス戦略でした。このところ、新型コロナウイルスの影響でジムなどが4カ月近く閉鎖されているため、ホームジムやワークアウトなどのオンラインフィットネス業界は成長傾向にあります。
また、同じようにデバイス経由でフィットネス講座を提供するMirrorとPelotonを比較すると、価格とオプションに関してはMirrorが優位であることが分かります。
Mirror
- 小売価格:約$ 1,495.00
- 会員費:$39 /月
- その他のクラスオプション
Peloton
- 小売価格:約$2,245.00
- 会員費:$39 /月
- スピン/ライディングクラス限定
lululemonとMirrorのシェア・オブ・ボイスを見ると、lululemonがPelotonを大きく上回っており、この点でもlululemonとMirrorの統合Pelotonにとって極めて重大な出来事であったことが分かります。
メディアだけでなくソーシャルメディアでも同様です。以下のグラフを見ると、lululemonはメディア(公開数)とソーシャルメディア(ソーシャルエンゲージメント)で最も高いシェアを占めていますが、Pelotonはどちらの分野でもかなり低いランクでした。
また、先月のソーシャルメディアでのメンション数を見てもlululemonはPelotonよりもメンション数が約50%多く、人々がlululemonに注目しているだけでなく、ソーシャルメディア上で話題になっていることが分かります。
lululemonは、他の企業と比較してセンチメントのスコアも高く、ポジティブなシェア・オブ・ボイスを得ています。
これに注意しなければならない会社はPelotonだけではありません。lululemonは、フィットネス業界全体を脅かす可能性があるからです。
Pelotonのようなホームトレーニングブランドだけではなく、Equinoxのような高級ジムも同様に危険な状態にあります。市場アナリストのKate Fitzsimonsが言うように、「家でエクササイズができると分かった今、Equinoxの会員になるために月$200も払う人がいるでしょうか?」
過去数年間の「フィットネス」に関連する特許の概観を見ると、大部分がフィットネス機器のカテゴリーに分類され、自宅でのトレーニングというトレンドに光を当てていることが分かります。
また、ホームフィットネス関連企業の数も増えており、とくにデジタル・エクスペリエンスに焦点を当てたトレーニングが増えています。
これはフィットネスの将来にとって何を意味するのでしょうか?
オムニチャネル・エクスペリエンスの必要性
ブランドに対する強力な評判を維持するには、複数のタッチポイントが必要であることは明らかです。そして、それがまさにこの買収でLululemonが行っていることです。lululemonとMirrorのこの取引は、完璧なオムニチャネル・エクスペリエンスを作り上げる過程なのです。
lululemonには、衣類だけでなくライフスタイルを提供するという価値があり、lululemon自身もそのことを理解しています。そして、パーソナライゼーションの時代、このようなイメージが消費者にとって重要な要素になります。Mirrorの買収はこのプロセスの延長線上にあり、買収のタイミングもこれ以上ないほど完璧でした。
lululemonは、ソーシャル・ディスタンスが求められる当面の間、消費者がデジタル・エクスペリエンスを求めるようになるという可能性に投資しています。
あなたのブランドが新たなビジネスの買収を検討している場合や、Lululemonに追随してオムニチャネル・エクスペリエンスを創り出そうとしている場合は、以下の点に注意が必要です。
- 新興市場のトレンドを分析し、業界の競合他社の一歩先を行く
- ソーシャルリスニングを毎日行うことで、ブランドや業界関する消費者の会話をリアルタイムに把握・分析する
- ブランドに対するセンチメント傾向をモニタリングし、満たされていないニーズや機会を見つける
- 消費者の発言に耳を傾け、どこで、どのような消費者によってそれが発信されているのかを追跡する(これにより、どこにいる消費者に対しても適切なメッセージを届けることができます)
lululemonがフィットネス業界を大きく変えようとしているように、大きな変化が起きる可能性があるのはフィットネス業界だけではありません。革新的なM&Aはあなたの業界でも行われようとしているはずです。
今後の革新的なM&A戦略
Just Eat Takeawayは最近、Grubhubとの73億ドルの合併契約を締結しました。これは、Uberも買収を検討していましたが独占禁止法の懸念があるためにGrubhubとの交渉をうち切り、結果的にJust Eat Takeawayがこの契約を勝ち取りました。これにより、Just Eat Takeawayはフードデリバリーの分野で強固な基盤を築き、Grubhubは同社に買収しかけていたUberに対する立場も強化しました。
第3四半期に入っても新型コロナウイルスによる影響が大きい状況を考えると、このようなM&Aは今後さらに増えるでしょう。どの業界も、長引く打撃からどのように回復するか模索しています。倒産する企業も多く(昨年から26%増加)、倒産前の最後のチャンスとしてM&Aに目を向けている企業もいます。「How COVID-19 is Reshaping Merger & Acquisition Strategies」レポートでも示されているように、健全なバランスシートを持っている企業に対するセンチメントはかなりポジティブな傾向にあります。このような企業がとくに今買い手市場であることを考えれば当然の結果です。
買収や合併は、LululemonとMirrorの取引のように、業界の状況を一変させてしまうほどの影響があります。また、他社を買収するか、自社が買収されるか、合併するかといったことに関わらず、結果として生じる変化は消費者や競合他社に影響を与えます。これに気が付いている企業では、業界の動向や取引の機会を注意深く監視しているはずです。
このようにビジネスで大きな行動を起こす前には、適切なタイミングやニーズを確認する必要があります。その際に役立つのがマーケット・インテリジェンス・ツールです。ソーシャル・リスニング・ツールNetBaseでどのような分析結果が得られるかデモンストレーションをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
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