by Robyn Lindars | 2020年7月22日| カスタマーエクスペリエンスマネジメント、マーケティング、ソーシャルアナリティクス、ソーシャルリスニング
参照元:https://www.netbase.com/blog/luxury-consumers-needs/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。
多くの産業と同様に、高級品市場は新型コロナウイルスへの対応に追われながらも、それぞれのブランドが「with コロナ」に適応しようとしています。
この記事では、高級品市場で起こっている変化や、コロナ禍で消費者のニーズを満たすために高級ブランドが行っている施策について紹介します。また、新型コロナウイルスが経済に打撃を与える以前の2020年2月に書かれた Luxury Brands Industry Report を参考に、当時の状況と現在を比較して、高級品市場の変化を見ていきます。
このレポートの観点
- 高級品市場の新たな姿
- 消費者が高級ブランドに本当に求めているもの
- 代表的な高級ブランドの適応方法
先に進む前に、高級品市場に関するいくつかの統計をご紹介します。
- Bain&Company Luxury Study 2020によれば、世界の高級市場は年末までに20〜35%縮小すると予測されています。
- 2019年にブランド価値が472億ドルに達した Louis Vuittonは、世界で最も価値のある高級ブランドです。
- 高級品市場はeコマースの領域で遅れをとっており、オンラインで販売されているのは時計では10%、眼鏡類/ジュエリーでは5%のみです。世界全体で見ても、パンデミック以前の売上高のうち、eコマースの売り上げは10〜12%でした。
- 米国の消費者の81%は、高級ブランドは環境にやさしい製造方法を採用すべきだと考えています。
高級品市場の現在の状況がおおまかに分かったところで、今後高級品市場がどのように変化していくのか考えてみましょう。
高級品市場の新たな姿
高級ブランドは、これまであまり採用してこなかったオンラインでの販売方法を模索していますが、消費者に与えてきた排他的なイメージは根強く残っています。オンライン上で消費者が高級ブランドについてどのような会話をしているか見てみましょう。
高級ブランドではブリック・アンド・モルタル(店舗での販売)モデルが長年にわたって根付いており、新型コロナウイルスによる外出・渡航の規制や消費者の購買傾向の変化による影響は深刻です。先ほどの統計でも見たように、今年、高級品市場は20〜35%縮小すると予測されおり、どれだけこの縮小を食い止められるかは、オンライン販売での成功にかかっています。
一部の高級ブランドでは、新型コロナウイルスによる外出自粛下でも消費者との関係を強化するため、すでにオンラインでクリエイティブな取り組みを始めています。
たとえば、Pradaはオンラインでの消費者エンゲージメントを高める施策の1つとして、4月にInstagramでPossible Conversationsシリーズを発表しました。このシリーズでは世界中の思想家や文化的仲裁者、ファッションリーダーを、ファッション、そしてより広い文化的な文脈のもとに集めており、Pradaは「国際的なライブイベントプラグラムによるデジタルでの交流と進化」を目的とした新たなイニシアチブを取っています。
また、この取り組みでは社会や政治の緊張など根本的な問題に関連するコンテンツを通して消費者と関わりながら、その過程でユネスコをサポートしており、まさにwin-winの関係です。
このような高度な繋がりや、きめ細かいデータと高度な分析ツールを採用する強力な業界の後押しが組み合わさっていることから、高級品市場のトップブランドがオンラインへの移行は避けられないと理解していることが分かります。実際に今、高級新市場ではかつてないほどデジタル化が進んでいます。
消費者が高級ブランドに本当に求めているもの
小売りの購買力に関しては、Z世代とミレニアル世代の牽引力がますます増加しており、高級品も例外ではありません。古い世代ほどオンラインよりも店頭での購入に抵抗がない一方で、Z世代やミレニアル世代などのデジタルネイティブはeコマースやソーシャルメディアに抵抗がありません。
ただし、彼らは自分たちが本当に欲しいものを提供してくれるブランドの見つけ方を心得ているため、ブランドに対する忠誠心は強くありません。そして、彼らが本当に欲しいものとは、透明性と持続可能性です。
彼らは環境問題と倫理問題に強い関心を持っており、これを重視しているブランドには注目が集まる一方で、基準に対応できていない製品やブランドは避けられるようになってきています。また、これは製品自体の問題だけでなく、材料、調達、製造などの製品ができる過程も含めた問題です。
ブランドのオンライン化の第一歩としても、ソーシャルメディアキャンペーンを開始する際に、環境保全や持続可能性への取り組みを通して消費者と関わることができます。まずは、それを実践している5つの高級ブランドの例を見てみましょう。
代表的な高級ブランドの適応方法
Estée Lauder
2018年、Estée Lauderは、2020年末までに事業運営を100%再生可能エネルギーで調達し、炭素の排出量実質ゼロを目指すことを約束する「Renewable Energy 100 (RE100)」に署名しました。そして4月のアースデーには、予定より早く米国とカナダで目標を達成したことを発表しました。彼らはこの進歩をより多くの消費者に知ってもらうため、ソーシャルメディアでの発信を続けています。
さらにEstée Lauderは、スポークスパーソンとして契約しているモデルやチームメンバーと一緒に、Instagramでのライブセルフケア動画を通して、オンラインで視聴者との繋がりを深めています。
Lexus
Lexusは、環境保全や持続可能性への取り組みに積極的です。彼らは自動車メーカーとして初めて高級品市場でハイブリッド車「2006 RX 400h」をリリースし、消費者が重要視している問題に対してLexusはどう応えるかを示しました。
その他にも、環境保全のためのアクションプランを提出した学生に助成金や奨学金を支援することで環境問題に立ち向かうLexus Eco Challengeプログラムや、リサイクル活動などでイニシアチブを取り、持続可能性へのコミットメントを続けています。
このように消費者が重要視している問題へ取り組んだ結果、今では消費者自らがオンラインでLexusについてのコンテンツを発信するほど、消費者のLexusに対するロイヤルティは高まっています。
L’Oréal
美容界の巨人L’Oréalも、持続可能性と透明性、両方の観点で大胆な取り組みを行っており、ソーシャルメディアを通して顧客とのつながりを維持しています。
持続可能性の観点では、「2030年までに完全な持続可能性を達成する」という計画を発表しています。米国の消費者の81%が「高級ブランドは持続可能な製造方法を採用するべきである」と考えていることからも、これは業界全体に大きな波及効果を生む賢明なアクションと言えます。
透明性の観点でも素晴らしい事例があります。子会社のGarnier(ガルニエ)はソーシング、パッケージング、再生可能エネルギーでより持続可能な方向に進んでおり、その実績は外部監査を受けた「持続可能性に関する進捗レポート」で裏づけられています。
Louis Vuitton
誰もが認める高級品市場のトップブランドであるLouis Vuittonは、CO2の削減から、1つ1つの商品の生産過程を農場レベルまで遡れるトレーサビリティまで、広範囲に及ぶ持続可能性への取り組みを行っています。
また、彼らはオンラインでも面白い取り組みをしています。Paris Fashion Weekでは、2021年春夏コレクションのメンズコレクションをランウェイで発表する代わりに、Message in a Bottleという動画シリーズをリリースしました。
動画の制作はLouis Vuittonのメンズ アーティスティック・ディレクターVirgil Abloh、サウンドトラックの制作はSA-RAによるもので、従来の伝統的なファッションショーに代わり、世界中をバーチャルに航海することを想い描いて作成された作品です。
Hugo Boss
Hugo Bossは、透明性の観点ではトップにあるブランドの1つです。2013年以降、Hugo Boss Sustainability Reportが毎年発表されており、その中で、環境への影響、従業員やパートナーとの関係、製品、および社会的責任に関するビジョンと戦略のすべてを、持続可能性の向上という観点から明らかにしています。
また、Hugo Bossは3年連続でDow Jones Sustainability Index(DJSI)に選出されており、選出されているファッションブランドの中でも最高クラスの評価を受けています。
オンラインでの動向を見ると、Movado Group Inc(MGI)とNorbreeze Groupとのパートナーシップによって時計・宝石市場でのeコマースと地域的なリーチをシンガポールやマレーシアにまで広げています。新型コロナウイルスのパンデミック以前、高級品市場では時計の10%、ジュエリーや眼鏡の5%しかeコマースチャネルを通して購入されていなかったことを考えても、スマートな戦略と言えます。また、ソーシャルメディアで彼らが発信する投稿も多くの注目を集めています。
高級品市場はeコマース領域にうまく入り込むことで、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックによる売上不振にブレーキをかけているようです。高級ブランドがオンラインでできることは他にもまだたくさんありますが、もちろんトップブランドの取り組みもこれにとどまらないしょう。
今年の2月までは売り手市場だった高級品ブランドも、今では全く異なる状況にあります。しかし、それでもオンラインへ移行しトップを維持し続けるブランドには人工知能(AI)の技術を取り入れたオンライン戦略があります。
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