改元から1年、ハッシュタグ「#令和」を分析して明らかになったこととは?

元号が「令和」に改元されてから1年と数カ月が経ちました。その間様々な出来事がありましたが、「#令和」に関連してソーシャルメディアではどのようなことが話題になっているのでしょうか。

「#令和」というハッシュタグが付けられている投稿にどのような特徴や変化が見られるか分析してみましょう。

分析の設定

設定キーワード:#令和
言語:全ての言語
期間:2019年4月1日~2020年6月30日
※広告などの投稿は除外しています。

cf.
・新元号の名称「令和」の発表:2019年4月1日
・「平成」から「令和」への改元:2019年5月1日

分析結果

投稿数

「#令和」タグが付けられた投稿数は約1151万件でした。投稿数の推移は元号の発表があった4月初めに急増し、「平成」から「令和」に変わるタイミングでも再び増加しています。その後、投稿数は5月中旬ごろには落ちつきますが、令和2年に入ってからも1日約5,000件ほどの投稿があります。

情報源

情報源別では、9割がTwitter、1割弱がInstagramという結果になりました。

センチメント

センチメントではポジティブがほとんどの割合を占めていました。

元号が発表されたばかりの頃は、「令和のイントネーションが分からない」といった話もありましたが、皆さん受け入れるのが早いですね。

センチメントドライバー(感情)

センチメントドライバーで感情を表すキーワードを見ると、「初勝利」や「かわいい」などのキーワードが頻繁に使用されたことが分かります。

「初勝利」というキーワードでフィルタリングして分析すると、サッカーではFC東京やジュビロ磐田、野球では中日ドラゴンズがなどが5月初旬に「令和初勝利」を収めたことから、このキーワードが頻繁に使用されていることが分かりました。

また「かわいい」というキーワードでフィルタリングしてみると、Twitterの期間限定の絵文字が関係していることが分かりました。

Twitterでは新元号が発表されてから期間限定で、「#令和」などのハッシュタグを付けて投稿すると自動的に絵文字が出現することが話題になっていました。その他にも「#新元号考えてみた」「#平成を語ろう」のハッシュタグでも絵文字が出現していたようです。この絵文字がかわいいという投稿が多かったため、「#令和」とともに「かわいい」というキーワードが頻出したようです。たしかにかわいい…

氏くん على تويتر: "平成最後のお仕事です。 #令和 #ハロー令和 の ...

センチメントドライバー(属性)

ポジティブ/ネガティブのそれぞれ上位のキーワードを見ると、先ほどの「FC東京」が大きく出ていますが、その他に「怪物」という気になるキーワードがあります。

詳しく見てみると、「令和の怪物」というキーワードがよく使用されていることが分かりました。また、次期によって「令和の怪物」と呼ばれる人物は次のように推移していました。

令和が始まって1年と少しで、次々に「令和の怪物」が登場しているようです。

ワードクラウド

次に、「#令和」タグの付いた投稿の内容を月ごとに見てみましょう。ワードクラウドでは頻出するキーワードが表示されるため、各期間の特徴的なキーワードを見つけることができます。今回はこれをダッシュボードに並べてみました。

様々なキーワードが出ていますが、とくに2020年の3月以降、「#令和ベビー」「#赤ちゃん」「#新米ママ」など子供や育児に関するキーワードが目立ちます。

ハッシュタグ「#令和」と付けたくなるような「令和初」の出来事は、その多くが令和1年目に終わってしまいますが、「令和ベビー」はその後も成長を続けています。そのため令和2年の現在でもわざわざ「#令和」というハッシュタグを付ける投稿は「令和ベビー」に関するものが多くなっているのかもしれません。

また、別の背景も考えられます。「ベビー」「赤ちゃん」「ママ」「子育て」など子供や育児に関するキーワードで絞った投稿数の推移を見ると、「平成」から「令和」に変わるタイミングで増加している点は全体の傾向と同じですが、その後2020年3月頃から再び増加していることが分かります。

2020年3月頃と言えば、ちょうど日本で新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出自粛の動きが強くなった時期です。

育児や子育ては様々な要因で息が詰まりやすいと言いますが、さらに外出も自粛しなくてはいけないとなれば、周囲の人とコミュニケーションを取ることや気分転換も難しくなり、子育てがより孤立しやすくなります。

そう考えれば、日本で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になり始めた3月頃から子育てに関する投稿が増えているのは、通常であれば「ママ友」などとの会話でやりとりされていた子育てに関する内容が、3月頃からはSNS上で活発にやり取りされていると推測することができます。

さらに、情報源別で見ると、とくに2020年3月以降はほとんどがInstagramの投稿ということが分かります。

TwitterよりもInstagramの方が投稿にハッシュタグを付ける文化が根付いているということも理由の一つかもしれませんが、「育児」というテーマを考えると、投稿者の「我が子のかわいい写真を見てほしい」という心理から、テキスト主体であるTwitterよりも写真や動画主体であるInstagramでの育児関連の投稿が多いのではないかと考えられます。

さいごに

今回は「#令和」という切り口で投稿の傾向を見てきました。新型コロナウイルスに関する投稿もあるのではないかと思いましたが、ワードクラウドの中にはこれに関するキーワードはほとんど見られず、一方でスポーツや育児に関する投稿が多いことが分かりました。

また、筆者にとっては初めての改元でしたが、思っていたよりも社会が「令和」をすんなりと受け入れている点が意外でした。ネガティブな投稿を深掘りすれば、また新たな発見があるかもしれません。

元号があるのは世界で日本だけとも言われています。日本の文化を理解してマーケティングを行う上では、今回のような視点で日本市場を見ておくことも重要です。

ハッシュタグ分析について

ソーシャルリスニングツールでInstagramのハッシュタグデータを分析する場合、Instagramの規約によりハッシュタグデータは基本的に過去1か月しか分析できません。しかしNetBaseでは、ハッシュタグマネージャーにハッシュタグを登録しておくことで、NetBaseがハッシュタグデータを自動的・定期的に収集して保存するため、長期にわたるハッシュタグデータの分析が可能です。

レポートの詳細や、分析に使用したツールNetBaseに関するご質問等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

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