消費者のエネルギーや感情を汲み取って活かすコカコーラのマーケティング

by Paige Leidig | 2020年9月22日| コンシューマーインテリジェンス、カスタマーエクスペリエンス、CX、マーケットインテリジェンス
参照元:https://netbasequid.com/blog/coca-cola-consumer-energy/
本記事はNetBase Solutionsによって書かれた上記の記事を翻訳したものです。


新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、どのブランドも社会や消費者に向けたメッセージを発信しています。その中でもコカコーラは、ソーシャル・リスニングによって消費者の感情を捉え、「コロナ禍の日常を、もっと素敵に。」というメッセージ動画を発信したことで消費者の注目を集めました。コカコーラは、コロナ禍で頻繁に使用された「みんなで一緒に」というキーワードに消費者が飽き飽きしていることや、コロナ禍のマーケティングは次のステップに進まなくてはいけないということに気が付いていたのでしょう。

この記事では、新たなトレンドを見極めるうえでソーシャル・リスニングがどのように役立つか、ポジティブ・メンタル・アティチュード(PMA)という新しい概念も含め、以下の観点でご紹介します。

  • 消費者の心理を反映したブランドメッセージ
  • 消費者のナラティブの変化を観察する方法
  • 現在に繋がるコカコーラの過去のプロモーションアプローチ

また、これらに関連して次の統計も確認しておきましょう。

  • インフルエンサー・マーケティングは、効果的に消費者をターゲティングし、顧客ロイヤルティを高めることができます。
  • 消費者の80%は、消費者の意見に直接反応してくれるブランドの商品を買う可能性が高いと答えており、消費者の会話を把握しそれに応えるためにはソーシャル・アナリティクスが不可欠です。
  • 社会に貢献するブランドは、高いブランドロイヤルティを維持し、長く続くブランドになる傾向があります。

消費者の心理を反映したブランドメッセージ

新型コロナウイルスのパンデミック下では、どのブランドも社会の状況に合わせて “we’re all in this together”(私たちはみんな一緒/頑張ろう/みんなで一緒に乗り切ろう)というブランドメッセージを発信していましたが、その中でも最も早く動いたのがコカコーラでした。彼らはいち早く環境の変化に適応し、コロナ禍で消費者からの支持を獲得するうえで重要な共感や優しさをシェアしました。

コカコーラ広告

世界がニューノーマルの時代へ移行した時、当時の消費者の気持ちをタイムリーに反映したポジティブなメッセージを発信したコカコーラのように、消費者の感情が日々変化してもブランドへの好感や愛着を維持するためには、社会の状況に合わせて臨機応変に方針を転換していくことが不可欠です。そして、コカコーラにはその準備ができていたはずです。

コカコーラの1歩進んだアプローチ

コカコーラがどのようにして社会情勢や消費者に素早く応えることのできるポジションを得たのか、ソーシャル・リスニングを使って分析してみましょう。

ソーシャルメディア上の“We are in this together”に関する会話を分析したのが次のクラスターの図です。このグラフを見ると、“We aren’t all in this together”(私たちは一緒じゃない)という興味深いクラスターがあります。

私たちはこれで一緒に会話します

先ほどの図をタイムラインビューにしてみると、このクラスターは2020年4月頃に現れて途中で消えることもなく、現在では大きなトレンドになっていることが分かります。

私たちは今、会話のタイムラインにいます

このクラスターに含まれる消費者の具体的な発言や感情を見ると、“in this together”(一緒に)というメッセージは、有名人にのみ当てはまると感じる人もいるようです。

バビロンビーリッチな人々の観察

また、“useless”(陳腐)に感じるという人もいます。

私たちはこれですべてを切断します

このように対立する意見がある中で、コカコーラは George the Poet とともに新たな広告を作成し、メッセージに少しだけポジティブ・メンタル・アティチュード(PMA)を取り入れています。彼らは 動画の中で「ノーマル」な日常に戻るという考えを手放すとともに、希望や人との繋がりを大事にしてより良い「ニューノーマル」にしていこうという考えを強調しました。George the Poet はInstagramで9万人以上のフォロワーを持つソーシャル・ジャスティス(社会正義)インフルエンサーで、彼のフォロワーもこの広告を気に入っているようです。

コカコーラジョージザポエトad

インフルエンサー・マーケティングによる消費者支持の獲得

コカコーラは明らかに、インフルエンサー・マーケティングの強力さや、これを上手く活用すれば顧客ロイヤルティを高められることを知っています。また、消費者の92%がブランドによる従来の広告よりもインフルエンサーを信頼していることも知っているはずです。

しかし、彼らはどのようにして起用するインフルエンサーを選んだのでしょうか?新しいトレンドを見つけたりインフルエンサーを特定するためにはソーシャル・アナリティクス・ツールが必要です。

Quid Socialは、ソーシャルメディア上の投稿やブログのデータを収集して分析することを可能にし、消費者のインサイトを明らかにします。たとえば、Quid Socialでコカコーラに関する消費者の会話を分析した結果が次のグラフです。

conversations-clusters-about-coca-cola

次の棒グラフのように、どのカテゴリーについて、どのプラットフォーム上で話されているかを把握することもできます。消費者の80%は、消費者の意見に直接反応してくれるブランドの商品を買う可能性が高いと答えているということから考えても、消費者の意見に応えるためには、消費者がどこで会話をしているのか知ることが欠かせません。

ドメイン-コカ-コーラ-会話-発見された場所

また、分析結果を詳しく見ていくと、次のような投稿も見つかりました。コカコーラの柔軟な対応力やすばらしい広告を賞賛しています。

コカ・コーラ広告の消費者賞賛

コカコーラによるこの種の取り組みはコロナ禍という状況下での例外的なものではありません。彼らはこれまでも消費者の心理をよく理解してブランディングを行ってきた長い歴史を持っています。

コカコーラのブランディングの歴史

1970年代にも、今日起こっているのと同じような社会正義や平等に関する議論が数多くありました。そのような社会的混乱の中で、1971年、コカコーラは様々な文化的背景を持つ若者が愛や希望を歌うコマーシャルを発信しました。

コカコーラの消費者に関する知識や、新しいトレンドを発見する能力を背景に作成されたこのコマーシャルは、テレビの歴史の中で最も愛され、影響力のあった広告の1つと言われています。また、このコマーシャルはレコーディング業界が広告に参加した最初の例であり、コカコーラが先駆者としての英断を示したとも言えます。

さらに、このコマーシャルで使用されたジングルは1971年と1972年にイギリスで1位、アメリカで7位になりましたが、コカコーラは曲の印税を受け取る代わりにユニセフに8万ドルを寄付しました。社会に恩恵を与えられるブランドこそが生涯にわたるロイヤルティを育むことができると言われますが、コカコーラはまさにその代表的なブランドと言えるでしょう。

その他にも、コカコーラボトルのラベルに名前を印刷できるという、若い消費者をターゲットにした”Share a Coke”キャンペーンなど、コカコーラが行ったキャンペーンはどれもコンシューマー・ファーストで考えられており、どのマーケティングも成功を収めています。

次の円グラフとワードクラウドでも示されているように、消費者に対する理解が結果的にコカコーラにメリットをもたらしているのです。

消費者感情からコカ・コーラへ

コカコーラは現在も、トレンドが顕在化する前に社会の変化をいち早く察知し、どのような施策もカスタマー・エクスペリエンスを中心に据えることで成功し続けています。

ソーシャル・インテリジェンス・ツールであるNetBaseでは、次世代AIによって消費者インサイトや市場トレンドを発見することができ、分析した結果をダッシュボードにまとめて定点観測することも可能です。ソーシャル・リスニングの詳細やNetBaseのデモをご希望の方はお気軽にご連絡ください。


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